つみ

- Ⅰ -


遠くで 鈴の音が聞こえる




彼女はリノリウムの床の上に座り込み


自分の腕から流れ出る血をぼんやり眺めていた




カッターナイフを握り 再び 腕に突き刺す




自分の心を この世へつなぎとめるためには


自らを傷つけるしか方法がなかった





流れ出る血は幾重にも筋になって床へ滴り落ちる


赤いラインは彼女をこの世へつなぎとめる根のように 床へ広がっていく




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―― ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい




心の中で彼女は叫ぶ



誰に謝っているのか


なぜ謝っているのか



彼女自身にもわからない


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- actⅡ -


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彼女は気がつくと陽だまりの中にいた




暖かい陽光が 彼女の上に降り注いでいる



濃密で甘い 森の香りがする




ここは…どこ?





見下ろすと遥か下方に地面が見える




彼女は樹上にいた







彼女は 鳥だった






つみ ――



体の小さい 一羽の鷹が 彼女の姿だった











見上げると 初夏の透き通るような青空が見えた


風が吹いている






その瞬間,自分の中で全てのものが氷解した




今までの過去がフラッシュバックし,それらがすべて繋がった




今までの苦しみや悲しみの記憶

怠ることのなかった努力は



すべて今この瞬間のためにあったことを悟った







ふたたび 強く 風が吹いた




ざわ,と樹がうなる








彼女はぶるっと体を震わせた





飛び立つ準備はできている





そして 飛び立つ先に 約束の地が見つかることを本能的に予感した







彼女は一度,羽におちた雫を切るように払うと





二度と後ろを振り返らずに





まっすぐ 飛び立った



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作品名 ―― つみ

【製作期間】 1月17日~3月23日
【作品サイズ】 21×9×13cm , 35×11×21cm
【使用材料】 紙バンド専門店 兎 屋


二本どりの升目をベースに,それを螺旋状に虫巻きという編み方で巻いています。
作るきっかけになったのはちょっと重いテーマでしたが,バッグに関して言えば和服に合わせるイメージで作ってみました。
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by satoka07 | 2011-03-24 14:52 | バッグ

手芸用の紙バンドで日々作っています


by さとか